食器の鉛・カドミウムは何で確認する?食品衛生法の規格と確認方法
情報の確認日 2026年9月15日編集部
陶磁器製の食器から溶け出す鉛とカドミウムの上限は、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)で決められています[1]。今の基準は平成20年厚生労働省告示第416号で強化されたものです[2]。溶出量は酢酸を使う試験で測るため[1]、見た目では判断できません。手持ちの器は作り手に試験結果を確認します。
| 対象 | 行為 | 判断 | 条件 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 平成21年8月1日以降に国内で製造・輸入された陶磁器製の食器 | 販売・無償の授与 | 条件付き可 | 改正後の規格に適合していること。使用上の注意を付けても、不適合品は販売できない | [3] |
| 平成21年7月31日までに国内で製造・輸入された陶磁器製の食器 | 販売・営業上の使用 | 条件付き可 | 改正前の規格に適合していること | [2][3] |
| 規格改正前に買った食器 | 個人が自宅で使い続ける | 未確認 | 食品衛生法は個人の自宅での使用を規制しない。器ごとの溶出量はこの回答からは分からない | [3] |
| 美術的価値のある伝統的な工芸品の絵皿・抹茶茶碗 | 販売 | 条件付き可 | 鉛が溶け出す可能性と、酸性の食品に使わないことを書いた注意書きを添える | [3] |
| 趣味で自分が使うために作った陶芸作品 | 製作して自分で使う | 可 | 食品衛生法は禁止していない。販売や授与をすれば規格の対象 | [3] |
| 見た目・写真 | 鉛やカドミウムが溶け出すかの判断 | 不可 | 規格の試験は、4%酢酸を満たして常温・暗所で24時間置いた液を測る | [1][7] |
このページで確認できること
- 陶磁器製の食器の鉛・カドミウムの区分別の基準値と試験方法
- 平成20年改正の適用日と、それ以前に作られた器・自宅で使う器の扱い
- 伝統工芸品・趣味の作品の扱いと、手持ちの器を確認する方法
食器の鉛・カドミウムはどの法令で決められている?
食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)の器具及び容器包装の部分で、材質ごとに溶出の上限が決められています[1]。
消費者庁が掲載している規格基準の抄録は、最終改正を令和7年内閣府告示第95号としています[1]。ガラス製、陶磁器製、ホウロウ引きの器具又は容器包装は、それぞれ別にカドミウムと鉛の溶出規格が定められています[1]。
器具・容器包装の規格基準のページは、消費者庁の食品衛生基準審査課が掲載しています[4]。同じページに、カドミウム及び鉛の規格改正に関連する留意事項とQ&Aが載っています[4]。厚生労働省のページにも、告示第370号へのリンクがあります[5]。
金属の器具には別の規格があります。器具や容器包装の食品に接する部分は、鉛を0.1%を超えて含む金属で製造・修理してはならないとされています[1]。
陶磁器製の食器の基準値はいくつ?区分と試験方法
液体を満たしたときの深さ、容量、加熱調理用器具かどうかで区分されます。容量1.1L未満の器なら、カドミウム0.5µg/mL、鉛2µg/mLが上限です[1]。
深さ2.5cm以上の器は、表面の異物を取り除いたあと4%酢酸を満たし、常温の暗所に24時間置きます[1]。深さ2.5cm未満や液体を満たせない器は、表面積1cm2あたり2mLの酢酸を使います[1]。
岐阜県セラミックス研究所のリーフレットは、24時間置いた酢酸を原子吸光分析器などで測り、鉛とカドミウムの濃度を出すと説明しています[7]。東京顕微鏡院のコラムも、食品と接する部分を4%酢酸水溶液で24時間満たして測定するとしています[9]。
表の数値は陶磁器製の区分です。ガラス製とホウロウ引きは、容量の区切りや数値が陶磁器とは違います[1]。
「加熱調理用器具」とはどんな器?
直火、オーブン、電子レンジなどでの加熱調理を主な目的とする器具です。温め直しに電子レンジを使うだけの茶碗やマグカップは含まないとされています[2][3]。
厚生労働省の通知は、熱燗用の徳利や茶碗蒸し用の茶碗など、100℃を超えない範囲で使うものは加熱調理用器具に当たらないとしています[2]。
同省のQ&Aは、カタログで料理写真とともに「電子レンジで○分加熱調理」などと書かれた製品は加熱調理用に当たるとしています[3]。深さ2.5cm未満の加熱調理用の器には、深さ2.5cm未満の区分の規格値を使います[3]。
今の基準はいつから?それより前に作られた器の扱い
改正は平成20年7月31日から適用されました。平成21年7月31日までに製造・輸入された製品は、改正前の規格に適合していれば従前の例によることができます[2]。
通知によると、改正はISOの規格を参考にカドミウムと鉛の溶出規格を強化したものです[2]。岐阜県セラミックス研究所のリーフレットは、区分によっては基準値が鉛・カドミウムともに2分の1以下になったと説明しています[7]。
Q&Aは、平成21年8月1日以降に国内で製造・輸入する製品は、使用上の注意を付けても新しい規格に適合しなければ販売できないとしています[3]。無償で配る場合も販売に含まれ、規制の対象になるとしています[3]。
改正前に買った食器を自宅で使い続けられるかという問いに、Q&Aは食品衛生法は個人が自宅で使用することを規制するものではないと答えています[3]。これは法律の対象範囲についての回答で、個々の器の溶出量を示したものではありません。
伝統工芸品や趣味の陶芸作品にも規格は適用される?
食器として使う絵皿や抹茶茶碗には適用されます。ただし美術的価値のある伝統的な工芸品は、注意書きを添えれば改正後の規格に必ずしも適合しなくてよいとされています[3]。
Q&Aが例に挙げる注意書きは、鉛を含む釉薬や絵の具を使っており酸性になると鉛が溶け出す可能性があるため、酢の物や果汁など酸性の食品に使わないよう求める内容です[3]。
飾り紐がついていたり、実用に使えないよう小孔が開けられていたりする観賞専用の絵皿は対象外です[3]。趣味として自分が使うために陶芸作品を作ることも、食品衛生法は禁止していないとしています[3]。
食品と接しない外側の面からの溶出は、規格の対象外です[3]。ただしQ&Aは、窯で焼くときに鉛が移る可能性があるため十分な注意が必要としています[3]。
手持ちの器や買う器は、どう確認する?
見た目では分からないため、作り手や販売元に溶出試験を行っているかと結果を問い合わせ、注意書きの表示を確認します。試験は公設の試験研究機関などが行っています[6][8]。
株式会社おぎそは、食器の絵付けに使う顔料に鉛やカドミウムが含まれる場合があると説明しています[8]。そのうえで、自社の器は溶出試験で鉛・カドミウムが検出されていないと公開しています[8]。試験の結果を公開している作り手の例です。
岐阜県東濃地域の4つの試験研究機関は、食品衛生法などの規格に対応した鉛・カドミウムの溶出試験を行っています[6]。リーフレットは、試験は業界の製品の安全性を確かめるためのもので、基準を超えても罰則や差し止めはしないと説明しています[7]。
問い合わせでは、どの規格で試験したか、試験した製品と手元の器が同じ品番か、内側に上絵付けがあるかを分けて聞きます。酸性の食品に使わないよう注意書きが添えられた器は、その表示に従います[3]。
よくある質問
出典
- 1食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)(抄)第3 器具及び容器包装消費者庁・2026年9月15日確認
- 2食品、添加物等の規格基準の一部改正について(食安発第0731001号)厚生労働省医薬食品局食品安全部長・2026年9月15日確認
- 3器具及び容器包装のカドミウム及び鉛に係る規格の改正に関するQ&Aについて(食安基発第0811001号)厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長(消費者庁サイト掲載)・2026年9月15日確認
- 4器具・容器包装、おもちゃ、洗浄剤に関する情報消費者庁・2026年9月15日確認
- 5器具・容器包装、おもちゃ、洗浄剤に関する情報厚生労働省・2026年9月15日確認
- 6鉛・カドミウムの溶出試験について岐阜県セラミックス研究所・2026年9月15日確認
- 7鉛・カドミウムの溶出基準改正について(リーフレット)岐阜県セラミックス研究所ほか東濃四試験研究機関・2026年9月15日確認
- 8安全性株式会社おぎそ・2026年9月15日確認
- 9食の安全を守るための、「食器」の検査とは?東京顕微鏡院 食と環境の科学センター・2026年9月15日確認
確認できていないこと
- 試験研究機関が個人からの溶出試験を受け付けるか、料金は未確認
- 令和7年内閣府告示第95号による改正で陶磁器の区分に変更があったかは未確認(抄録の陶磁器の数値は平成20年通知の別添と一致)
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