土と

和食器の技法・用語一覧|見分け方と実例

情報の確認日 2026年9月16日編集部

この一覧には、辞典の言い換えではなく見分ける軸か実例を確認できた39の用語を載せています。たとえば染付は呉須で釉の下に描く下絵付[1]、色絵は本焼き後の釉の上に描く上絵付です[2]。絵の位置が違うため、同じ藍色でも呼び名が変わります。

分野別の掲載用語数(2026年9月15日までに各ページで確認した範囲)
分野掲載数含まれる用語の例
装飾の技法(絵付け・化粧土・彫り)12染付・色絵・赤絵・粉引・刷毛目・飛び鉋・象嵌
釉薬と焼き上がりの表情15青磁・白磁・志野・織部・天目・窯変・貫入・焼締め
成形の方法と器の部位3高台・練り込み・たたら作り
器の種類と呼び名7和食器の種類・ぐい呑み・お猪口・そば猪口・豆皿
産地をまたぐ言葉2民藝・日本六古窯
合計39

このページで確認できること

  • 用語の意味と、似た用語との見分ける軸
  • その用語がどの産地・どの時代の資料に出てくるか
  • 写真だけでは確かめられない点

この一覧にはどの用語を載せていますか

辞典の言い換えにとどまらず、見分ける軸か実例を資料で確認できた39語だけを載せています。

用語ページは、意味を書くだけでは公開していません。似た用語とどこで分かれるか(見分ける軸)か、美術館の所蔵品・産地組合の説明といった実例のどちらかを確認できたものだけを載せています。

呼び名の範囲が資料によって違う用語もあります。赤絵は、有田では白磁に上絵付したものを指し、染付に重ねたものは染錦と呼び分けます[3]。一方で色絵全体を赤絵と呼ぶ説明もあり、各ページに両方を並べています。

分野の分け方は編集上の整理です。白磁と青磁は釉に含まれる鉄分の量で分かれるため、ここでは釉薬の分野に入れています。分野が違っても、関係する用語は各ページから相互にたどれます。

装飾の技法(絵付け・化粧土・彫り)

絵や模様をどこに・何で付けるかで分かれる12語です。釉の下か上か、化粧土か釉かが見分ける軸になります[1][2]

染付は白い素地に呉須で文様を描き、透明釉を掛けて高火度で焼く下絵付です[1]。色絵は本焼き後の釉面に上絵具で描き、低い温度で焼き付けます[2]。粉引は絵ではなく、鉄分の多い素地を白い化粧土で覆い透明釉を掛けたものです[7]

装飾の技法に関する用語(2026年9月15日までに各ページで確認)
用語読みひとこと詳細
染付そめつけ白い素地に呉須で描き、透明釉を掛けて焼き、文様を藍色に出す下絵付です
色絵いろえ本焼きした釉の上に赤・緑・黄などで描き、低い温度で焼き付ける上絵付です
赤絵あかえ赤を主調に緑・黄などを加えて、本焼き後の釉の上に描く多彩の上絵付です
金彩きんさい本焼きした器の釉の上に金で文様を施して焼き付ける上絵付の装飾です
呉須ごす酸化コバルトを主成分とする顔料で、呉須で描いて釉を掛けたものが染付です
粉引こひき鉄分の多い素地に白い化粧土を覆い、その上に透明釉を掛けた焼き物です
刷毛目はけめ刷毛で化粧土を塗り、刷毛の跡を景色として残す装飾です
飛び鉋とびかんなロクロを回しながら鉋の先を当て、化粧土を削って鉋の跡を付ける装飾です
印花いんか文様を表した型を素地に押し付けて文様を付ける方法で、型押しとも呼ばれます
象嵌ぞうがん彫ったり押したりした凹みに白土や赭土を埋めて釉をかけ、焼成する方法です
三島手みしまで灰色の胎土に白土象嵌などで装飾した朝鮮時代前期の器を指す、日本での呼び名です
しのぎ器の表面を削り出した縦の筋や、蓮の花弁のような彫刻文様を指します

釉薬と焼き上がりの表情

釉の成分と焼き方で分かれる15語です。同じ色でも呈色剤(鉄・銅・コバルト)と焼成雰囲気が違います。

青磁は素地と釉の微量の鉄分を還元焔焼成で働かせて青磁色を得ます。白磁は釉の鉄分が極めて少なく、ほぼ無色透明になります。赤も、辰砂は銅を還元で発色させ、上絵の赤は鉄の酸化物で、呈色剤が違います。

釉を掛けない焼き物も、この分野に含めています。焼締めは釉薬を掛けずに陶土を焼いたもので、薪の灰が溶けた自然釉でガラス質の部分が出ることがあります。備前焼は絵付けも施釉もせず、1,200度以上で約2週間焼き締めます[6]

釉薬と焼き上がりの表情に関する用語(2026年9月15日までに各ページで確認)
用語読みひとこと詳細
青磁せいじ素地と釉の微量の鉄分が還元焔焼成で働き、青磁色を得る高火度のやきものです
白磁はくじ陶石や磁土の白い素地に、長石・石灰などの釉を掛けて焼いた純白の磁器です
瑠璃釉るりゆう透明釉に呉須を混ぜ、釉そのものを藍色に発色させる釉薬です
辰砂しんしゃ銅を呈色剤として還元焼成で赤く発色させる、やきものの呼び名です
飴釉あめゆう鉄分を呈色剤とする鉄釉の一種で、酸化炎で焼くと飴色に発色します
天目てんもく中国から伝わった黒釉の茶碗に由来し、その形と鉄黒褐色の釉の両方を指します
海鼠釉なまこゆう白濁色を基調とする二重掛けの失透釉で、釉の流れで斑文が出るとされます
志野しの16世紀末から美濃の大窯で焼かれた、長石釉を厚く掛けた乳白色の焼き物です
織部おりべ古田織部の好みの焼き物という意味で呼ばれる美濃焼で、器の変形と多彩な文様が特徴です
黄瀬戸きせと瀬戸の名が付きますが美濃で焼かれた、黄色く発色する釉の焼き物です
ビードロ釉びーどろゆう薪の灰が器に積もり、土の長石と溶け合ってできる青緑・黄緑色のガラス質です
緋襷ひだすき備前焼の窯変の一つで、藁の成分と土の鉄分が反応してできる赤い線です
窯変ようへん窯の中の状況によって、器の素地や釉に起こる変化を指します
焼締めやきしめ釉薬を掛けずに陶土を焼いた焼き物です
貫入かんにゅう冷える過程で素地と釉薬の縮み方が違うために、釉に生じる細かなひびです

成形の方法と器の部位

形をどう作るかと、器のどの部分を指すかの3語です。作り方は完成品の写真だけでは確かめにくい点があります。

高台は、別に作って貼り付ける付け高台と、底を削って作る削り出し高台に分かれます。どちらで作ったかは、外観の写真だけでは確かめられないことがあります。練り込みも、色が土そのものか表面の化粧土かは写真では判断できません。

成形と部位に関する用語(2026年9月15日までに各ページで確認)
用語読みひとこと詳細
高台こうだい器の底に作られる支えの部分で、付け高台と削り出し高台に分かれます
練り込みねりこみ色の異なる土を重ねて形を作り、表面に模様を表す方法で、練上げとも呼ばれます
たたら作りたたらづくり粘土を板状にし、箱形や筒形にしたり型に押し当てたりして形を作る方法です

器の種類と呼び名

形から来た名前と、使い方から来た名前が混ざる7語です。寸法や容量の規格は、多くの呼び名で確認できていません。

ぐい呑みとお猪口、そば猪口と湯呑みは、容量や寸法で区切る決まった定義を今回確認できませんでした。各ページでは、代わりにメーカーの製品表示や美術館の所蔵品の実測値を並べています。呼び名だけでは大きさは決まりません。

豆皿は辞典で直径2寸(約6cm)前後のものをいうことが多いとされますが、小皿との境目は辞典によって説明が異なります。数値が資料にあるときだけ、その数値と出典を示しています。

器の種類と呼び名に関する用語(2026年9月15日までに各ページで確認)
用語読みひとこと詳細
和食器の種類わしょっきのしゅるい皿・鉢・碗のように形で呼ぶ名前と、向付のように使い方から来た名前が混ざっています
ぐい呑みぐいのみ辞典で大ぶりの深い杯と説明される酒器で、容量の定義は確認できていません
お猪口おちょこ上が開き下のすぼまった小形の杯で、辞典では江戸時代以降の陶製の杯を指します
そば猪口そばちょこ江戸時代に多目的に使われた筒形や逆台形の猪口を、蕎麦のつけ汁に使うようになった器です
片口かたくち口縁の一方だけに注ぎ口をつくった、鉢や椀の形の器です
豆皿まめざら辞典では直径2寸(約6cm)前後のものをいうことが多いとされる、小ぶりの皿です
箸置きはしおき箸先が食卓に直接つくのを防ぎ、箸が転がらないようにするための道具です

産地をまたぐ言葉

特定の産地や釉の名前ではなく、複数の産地にまたがる枠組みを指す2語です[5][6]

民藝は「民衆的工芸」の略語で、一般の民衆が日々の生活に必要とする品を指す言葉です[5]。特定の釉や模様の名前ではないため、見た目だけで民藝かどうかを決めることはできません。

日本六古窯は、越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前の6産地の総称です[6]。2017年春に日本遺産に認定されています[6]。産地ごとの説明は各産地ページにあります。

産地をまたぐ言葉(2026年9月15日までに各ページで確認)
用語読みひとこと詳細
民藝みんげい「民衆的工芸」の略語で、一般の民衆が日々の生活に必要とする品を指します
日本六古窯にほんろっこよう中世から生産が続く越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前の6産地の総称です

写真だけで技法を見分けられますか

見分けられない用語が多くあります。白の正体や絵の位置、成形の方法は、表面の写真では層の構成まで確かめられません。

粉引は化粧土の白、白釉は釉の白で、どちらも白く見えます[7]。刷毛目と粉引も白の範囲と塗り方の違いで、完成品からは判別しにくい場合があります。各ページでは、この「写真だけでは確かめられない点」を必ず書いています。

貫入も同じです。貫入は釉に生じる細かなひびですが[4]、素地まで達する割れかどうかは外観の写真では判断できません。使ってよいかは、見た目ではなく作り手やメーカーの案内で確かめます。

よくある質問

染付と色絵はどこが違いますか
絵を描く位置です。染付は呉須で釉の下に描いて高火度で焼き[1]、色絵は本焼き後の釉の上に描いて低い温度で焼き付けます[2]
赤絵と色絵は同じ意味ですか
資料によって範囲が違います。有田では白磁に上絵付したものを赤絵、染付に重ねたものを染錦と呼び分けています[3]。各ページに両方の説明を並べています。
貫入が入った器は不良品ですか
資料によって扱いが違います。陶磁器試験場の資料では防ぐ対象の欠陥として扱われ[4]、萩焼では使ううちに色が変わる特徴として説明されています。

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出典

  1. 1
    伝統工芸指定品目美濃焼伝統工芸品協同組合・2026年9月15日確認
  2. 2
    上絵付(やきもの専門用語)九谷陶泉・2026年9月15日確認
  3. 3
    有田焼ができるまで有田観光協会・2026年9月15日確認
  4. 4
    陶磁器の欠陥(原因と対策)土岐市立陶磁器試験場・2026年9月15日確認
  5. 5
    民藝とは何か日本民藝協会・2026年9月15日確認
  6. 6
    六古窯について日本六古窯(公式サイト)・2026年9月15日確認
  7. 7
    粉引美濃焼伝統工芸品協同組合・2026年9月15日確認

確認できていないこと

  • ぐい呑み・お猪口・そば猪口・豆皿は、寸法や容量を定めた規格を確認できていません

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