陶器と磁器の違い|7項目で比較
情報の確認日 2026年9月15日編集部
陶器と磁器の違いの核心は、原料と焼き締まり方です。陶器は陶土、磁器は陶石が原料とされ、磁器は高温で焼かれて吸水性がほとんどなく、光を通します[1][2]。焼成温度の数値は資料によって幅があります[1][3]。電子レンジなどの可否は陶器か磁器かではなく、装飾や製品表示で確かめます[4]。
| 比較軸 | 陶器 | 磁器 | 例外・注意 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 原料 | 陶土。長石10%・珪石40%・粘土50%という配合例がある | 陶石。長石30%・珪石40%・粘土30%という配合例がある | 配合は土岐市の資料の例で、すべての製品に当てはまる数値ではない | [1][2] |
| 焼成温度 | 約1200度程度が多い(砥部町)、約800〜900度から1200度(東洋陶磁美術館) | 1300度前後(砥部町)、約1300度(東洋陶磁美術館) | 楽焼のように1000度以下の陶器もある | [1][3] |
| 吸水性 | 10%近い吸水率を持つこともある | ほとんど0%(土岐市)、0.5%(東洋陶磁美術館) | 陶器も釉薬がかかった面は吸水性がなくなるとされる | [1][2][3] |
| 透光性 | 光を通さない | 半分以上がガラス質のため光を通す | 厚みのある磁器での透け方は今回未確認 | [1][2] |
| 叩いた音 | やや低い、にごった音 | 金属的な澄んだ音 | 形や厚み、持ち方でも響きは変わるため、音だけで判定しない(出典の記載はなく編集部の見方) | [1][2] |
| 厚さと重さ | 磁器より肉厚に作られるが、同じ厚みなら磁器より軽い | 薄く作られ、熱が早く伝わる | 重さは厚みと形で変わり、手に持った重さだけでは決まらない | [2] |
| 使い始めの手入れ | 米のとぎ汁で煮る方法が案内されている | 台所用洗剤で表面の汚れを洗ってから使う | 目止めの要否や方法は、作り手・製品の指定を優先する | [4] |
このページで確認できること
- 陶器と磁器を、手入れの手間で使い分けるときの見どころ
- 陶器と磁器の原料・焼成温度・吸水性などの違いと、その数値の出典
- 半磁器と炻器(せっき)が陶器・磁器とどう違うか
- 光・音・重さで見分けるときに、それだけで判定できない理由
陶器と磁器の違いは何?原料と焼き締まり方で性質が分かれる
陶器は陶土、磁器は陶石を主な原料とします[1]。磁器はガラス質が多く緻密に焼き締まり、吸水性がほとんどなく光を通します[2]。
砥部町の資料では、磁器の原料を陶石、陶器の原料を陶土としています[1]。磁器は素地が白く光を通し、陶器は素地に色があり光を通さないと説明されています[1]。
土岐市の資料は、配合の例として磁器を長石30%・珪石40%・粘土30%、陶器を長石10%・珪石40%・粘土50%と示しています[2]。長石と珪石はガラスになる成分で、磁器は鉄分の少ない原料を選ぶとされています[2]。
同じ資料では、磁器は半分以上がガラス質になっているため光を通し、陶器の素地は小さな穴が多いため光を通さないと説明されています[2]。原料の配合と焼き締まり方の差が、吸水性や音、重さの違いにつながっています。
大阪市立東洋陶磁美術館は、やきものを土器・陶器・炻器・磁器に分けて説明しています[3]。陶器はガラス質を若干含む陶土、磁器はガラス質を多く含む磁土を使うとされています[3]。
陶器と磁器の焼成温度はどのくらい違う?資料ごとの数値
磁器は約1300度前後、陶器はそれより低く、上限はおよそ1200度とする資料が多い一方、下限の数値は資料によって異なります[1][3]。
砥部町の資料では、磁器の焼成温度を一般に高く1300度前後、陶器を磁器より低く約1200度程度が多いとしています[1]。楽焼のように1000度以下で焼く陶器もあると書かれています[1]。
大阪市立東洋陶磁美術館は、陶器を約800〜900度から1200度、磁器を約1300度で焼成するとしています[3]。土器は約700〜800度、炻器は1200〜1300度と示されています[3]。
陶器の温度に幅があるのは、陶器という言葉が低温の楽焼から高温の焼き物まで広く含むためです[1]。このページでは一つの数値に丸めず、出典ごとの数値をそのまま並べています。
吸水性・透光性・音・重さはどう違う?見分けるときの注意
磁器は吸水性がほとんどなく光を通し、澄んだ音がします[1][2]。ただし光・音・重さはどれも一つだけでは判定できないため、組み合わせて見ます。
陶器か磁器かを手元で確かめたいときは、光・音・重さのほかに、製品の表示や作り手の説明も合わせて確認します。以下の三つは、それぞれに限界がある観察方法です。
吸水性:陶器は素地が水を吸うが、釉薬の面は吸いにくい
土岐市の資料では、磁器はほとんど吸水率が0%、陶器は10%近い吸水率を持つこともあるとされています[2]。大阪市立東洋陶磁美術館は、磁器の吸水性をほとんどなく0.5%と示しています[3]。
砥部町の資料は、陶器の素地は荒く吸水性があるものの、釉薬によって吸水性がなくなると説明しています[1]。一方で萩焼会館は、萩焼では貫入から水分が浸透し、器の表面まで至ると案内しています[7]。釉薬がかかっていても、貫入のある陶器は水がしみることがあります。
透光性:光に透かすと磁器は透けるが、厚みで見え方が変わる
磁器は半分以上がガラス質のため光を通し、陶器はガラス量が少ないため光を通さないとされています[2]。砥部町の資料も、磁器は光をとおす性質があると説明しています[1]。
厚手の磁器や色の濃い釉薬の器では、光に透かしても透け方が分かりにくい場合があるとみられます。透けないことだけを理由に陶器と決めず、高台の素地の色なども合わせて確認します。
叩いた音と重さ:音だけ、重さだけで判定しない
砥部町の資料では、磁器は金属製のすんだ音、陶器はやや低いにごった音を出すとされています[1]。土岐市の資料も、磁器は叩くとチンチンと澄んだ音がし、陶器は鈍い音になると説明しています[2]。
音は器の形や厚み、置き方や持ち方でも変わり、目に見えないひびでも響きが変わる可能性があります。器同士を強く打ち合わせると欠けの原因にもなるため、音は軽く確かめる程度にとどめます[9]。
重さについて土岐市の資料は、陶器は磁器より肉厚に作られるものの、同じ厚みなら小さな穴を多く含む陶器のほうが軽いと説明しています[2]。手に持った重さは厚みと形の影響が大きく、重いから陶器とは言い切れません。
半磁器と炻器(せっき)は陶器・磁器とどう違う?
炻器は吸水性がほとんどなく、光を通さない焼き物で、陶器と磁器の中間とされます[5]。半磁器は吸水性が陶器より小さい白色の陶器と説明されています[6]。
コトバンク掲載のデジタル大辞泉は、炻器を非透光性である点で磁器と区別し、気孔性のない点で陶器と区別すると説明しています[5]。改訂新版 世界大百科事典は、日本では備前焼や信楽焼などが炻器に属するとしています[5]。
大阪市立東洋陶磁美術館は、炻器を粘土を成形して1200〜1300度の高温で焼成したものと説明しています[3]。世界大百科事典の記述では吸水量を0〜10%としており、炻器の中にも幅があります[5]。
半磁器について、コトバンク掲載の食器・調理器具がわかる辞典は、比較的よく焼き締まり、吸水性が一般の陶器より小さく、磁器に近い性質を持った白色の陶器と説明しています[6]。今回確認した公的資料の中には、半磁器の焼成温度や配合の定義は見当たりませんでした。
瀬戸焼の販売店 make my day は、半磁器を陶土に陶石を混ぜて作るものとし、焼成温度を約1,150〜1,250℃と説明しています[10]。販売店の説明のため、半磁器の一般的な定義としてではなく、製品説明の一例として扱います。
陶器と磁器、どう使い分ける?
扱いの手間で選びます。吸水性のほとんどない磁器は洗剤で洗って使い始められ[2][4]、吸水する陶器は使い始めと乾燥に手をかける前提で選びます[2][4]。
違いの出発点は吸水性です。土岐市の資料では、磁器はほとんど吸水率が0%、陶器は10%近い吸水率を持つこともあるとされています[2]。セラミックパーク美濃は、陶器の使い始めに米のとぎ汁で20〜30分煮沸し、冷めてから洗って自然乾燥させる方法を案内し、磁器は表面の汚れを台所用洗剤で洗い流して使うとしています[4]。
使った後の扱いも変わります。セラミックパーク美濃は、洗った後はよく乾燥させてからしまうよう案内し、汚れたまま長時間放置するとシミやカビの原因になるとしています[4]。萩焼会館は、萩焼では貫入から水分が浸透し、器の表面まで至ると案内しています[7]。乾かす時間を取れるかどうかは、陶器を選ぶときの判断材料になります。
電子レンジや食洗機の可否は、陶器か磁器かだけでは決まりません。セラミックパーク美濃は、電子レンジについて陶器・磁器とも基本的には大丈夫としつつ、金彩・銀彩の器は真っ黒になると注意しています[4]。食洗機については、軟質の土ものは強い噴射で欠けるとして手洗いを勧めています[4]。ノリタケは、空焚きや急熱急冷は破損の原因になるとしています[9]。
売り場で見分けるときは、一つの観察だけで決めないようにします。磁器は光を通し、叩くと澄んだ音がするとされます[1][2]。器の形や厚み、持ち方でも響きは変わると考えられます。土岐市の資料は、陶器は磁器より肉厚に作られるものの、同じ厚みなら陶器のほうが軽いと説明しています[2]。音や重さだけで決めず、製品の表示と作り手の説明を合わせて確認します。
| 選ぶときに見る項目 | 陶器か磁器かで決まるか | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 吸水性 | 決まる方向。磁器はほとんど0%、陶器は10%近いこともある[2] | 自治体・美術館の資料、作り手の案内 |
| 使い始めの手入れ | 一部決まる。陶器は米のとぎ汁で煮沸、磁器は洗剤で洗う案内がある[4] | 作り手・製品ごとの指定 |
| 洗った後の乾燥 | 一部決まる。乾燥させてからしまうよう案内されている[4] | 作り手の案内 |
| 電子レンジの可否 | 決まらない。金彩・銀彩の器は真っ黒になるとされる[4] | 製品の表示、作り手の案内 |
| 食洗機の可否 | 決まらない。軟質の土ものは手洗いを勧める案内がある[4] | 製品の表示、機器の説明書 |
| 光・音・重さでの見分け | 決まらない。一つだけでは判定できない[1][2] | 高台の素地の色、製品の表示 |
陶器と磁器で手入れはどう変わる?使い始め・乾燥・電子レンジ
吸水性のある陶器は使い始めや乾燥に配慮が要り、磁器は洗剤で洗ってすぐ使えるとされます[4]。電子レンジの可否は金彩などの装飾で変わります[4]。
セラミックパーク美濃は、陶器の使い始めに米のとぎ汁で20〜30分煮沸し、冷めてから洗って自然乾燥させる方法を案内しています[4]。磁器は表面の汚れを台所用洗剤で洗い流して使うとしています[4]。目止めの要否や方法は、器ごとの作り手の指定を優先してください。
萩焼会館は、水がしみる湯呑について、おもゆを入れて半日から1日程度浸透させ、水洗いして乾燥させる方法を案内しています[8]。繰り返し使ううちに土の目が茶渋で詰まり、漏れなくなってくるとも説明しています[8]。
セラミックパーク美濃は、洗った後はよく乾燥させてからしまうよう案内し、汚れたまま長時間放置するとシミやカビの原因になるとしています[4]。電子レンジは陶器・磁器とも基本的には大丈夫としつつ、金彩・銀彩の器は真っ黒になると注意しています[4]。
食洗機について同じ案内は、軟質の土ものは強い噴射で欠けるとして手洗いを勧めています[4]。ノリタケは、空焚きや急熱急冷は破損の原因になるとしています[9]。可否は陶器か磁器かではなく、製品の表示と作り手の案内で確かめます。
よくある質問
- 陶器と磁器はどちらが高い温度で焼きますか?
- 磁器です。砥部町の資料は磁器を1300度前後、陶器を約1200度程度が多いとし[1]、大阪市立東洋陶磁美術館は陶器を約800〜900度から1200度、磁器を約1300度としています[3]。
- 有田焼や砥部焼は陶器ですか、磁器ですか?
- 砥部町の資料は、磁器の例として砥部焼・有田焼・九谷焼などを挙げています[1]。ただし同じ産地でも製品によって素材が異なる場合があるため、個々の器は製品の表示で確認します。
- 叩いた音で陶器か磁器か分かりますか?
- 磁器は澄んだ音、陶器はにごった音を出すとされます[1]。形や厚み、持ち方でも響きは変わるため、音だけで判定せず光の透け方や表示と合わせて確認します。
- 炻器(せっき)は陶器ですか、磁器ですか?
- 辞典では、光を通さない点で磁器と、気孔性がない点で陶器と区別される中間の焼き物と説明されています[5]。備前焼や信楽焼などが炻器に属するとする辞典もあります[5]。
- 陶器は電子レンジで使えませんか?
- セラミックパーク美濃は、陶器・磁器とも基本的には大丈夫で、金彩・銀彩が施してある器は真っ黒になると案内しています[4]。陶器か磁器かではなく、製品の表示と作り手の案内で確かめます。
出典
- 1陶器と磁器の違い砥部町・2026年9月15日確認
- 2磁器と陶器の違いは土岐市・2026年9月15日確認
- 3鑑賞の手引大阪市立東洋陶磁美術館・2026年9月15日確認
- 4陶磁器の使い方公益財団法人セラミックパーク美濃・2026年9月15日確認
- 5炻器コトバンク(デジタル大辞泉・改訂新版 世界大百科事典ほか)・2026年9月15日確認
- 6半磁器コトバンク(食器・調理器具がわかる辞典)・2026年9月15日確認
- 7萩焼について萩焼会館・2026年9月15日確認
- 8水漏れする湯呑萩焼会館・2026年9月15日確認
- 9商品のお取り扱いノリタケ・2026年9月15日確認
- 10焼き物の基礎知識【陶器・半磁器・磁器】のちがい株式会社make my day(瀬戸焼ギフトショップ m.m.d.)・2026年9月15日確認
確認できていないこと
- 磁器の吸水率の表記が異なる(土岐市:ほとんど0%/東洋陶磁美術館:0.5%)
- 半磁器の焼成温度・配合について公的機関の定義は確認できなかった(販売店の説明のみ)
- 炻器の分類で、東洋陶磁美術館は陶器と炻器を別に分けるが、備前焼・信楽焼を炻器とするのは辞典の記述。産地側の公式な分類表記は未確認
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