土と

会津本郷焼とは|特徴・器の種類・窯元

情報の確認日 2026年9月15日編集部

会津本郷焼は福島県会津美里町の焼き物で、1993年7月2日に国の伝統的工芸品に指定されました[1]。陶器と磁器の両方を作る産地で、一つの製造元で両方を作るところもあります[1]。電子レンジなどの可否を産地全体で示す公式資料は確認できず、製品ごとの表示で判断します。

会津本郷焼の基本情報と、産地全体に広げてはいけない点(2026年9月15日に伝統工芸 青山スクエア・会津本郷焼事業協同組合・窯元の公式ページで確認)
くらべる点特徴例外・製品による違い根拠
産地福島県大沼郡会津美里町窯元の数は、組合のサイトのトップが13、窯元紹介ページの掲載が12件、組合員名簿が13社で、数え方が資料により異なる[1][6][19]
国の指定1993年7月2日に伝統的工芸品に指定。組合の年表では2020年に地域団体商標に登録商標の登録内容は特許庁の資料で未確認[1][2]
陶器と磁器陶器と磁器の両方を作り、一つの製造元で両方を作るところもある窯元ごとに陶器中心・磁器中心が異なる。陶雅陶楽は1953年に白磁から陶器に転換したと記載[1][18]
原料陶器は瓦焼の流れをくむ土物、磁器は大久保陶石を原料とする石物と組合が説明指定の原材料には「同等の材質のもの」も含まれ、個々の製品の原料は未確認[1][4]
陶器の釉薬土灰釉、あめ釉、白流し釉、青流し釉、貫入釉、乳白釉など使う釉は窯元ごとに異なる。陶雅陶楽は飴釉・灰釉と記載[1][18]
磁器の加飾呉須を使った染付や、多色の色絵がある酔月窯は会津の風物を呉須で描く磁器を紹介。色絵の有無は製品で確認[1][13]
使用条件電子レンジ・食洗機の可否を産地全体として示した記載は、確認した資料になかった陶器と磁器、釉薬、上絵の有無で条件が変わるため、製品表示と作り手の案内で判断確認した資料:[1][19]

このページで確認できること

  • 会津本郷焼の産地と、陶器(土物)と磁器(石物)の原料・釉薬・加飾の違い
  • 瓦づくりから磁器の焼成、戊辰戦争後の再建、伝統的工芸品の指定までの年表
  • 訪問条件を公式に確認した窯元・陶磁器会館と、せと市・陶祖祭の時期

会津本郷焼はどこの焼き物?

福島県大沼郡会津美里町で作られる焼き物です[1]。陶器と磁器の両方を作る産地で、1993年7月2日に国の伝統的工芸品に指定されました[1]

伝統工芸 青山スクエアの産地情報は、会津本郷焼の産地を大沼郡会津美里町としています[1]。産地組合は会津本郷焼事業協同組合で、所在地は会津美里町瀬戸町甲3162です[1][5]。同じ所在地に、展示と販売を行う会津本郷陶磁器会館があります[7]

同じ産地情報は、戦国時代に会津若松の黒川城(若松城)の屋根瓦を焼いたことが始まりと言われると説明しています[1]。江戸時代の初期には会津藩主が焼き物作りを保護し、会津藩の御用窯として栄えたとされます[1]。東北では最古の白磁の産地でもあると書かれています[1]

組合のサイトのトップは、産地に13の窯元が点在していると紹介しています[19]。組合員名簿には、窯元のほか碍子製造の流れをくむ流紋焼や那須電機鉄工を含む13社が載っています[6][11]。組合の概要ページは、組合員を13社(令和4年4月現在)としています[5]

会津本郷焼の陶器と磁器は、原料と釉薬がどう違う?

組合は、陶器を瓦焼の流れをくむ土物、磁器を大久保陶石を原料とする石物と説明しています[4]。釉薬と成形の方法も、陶器と磁器で別々に定められています[1]

会津本郷焼事業協同組合は、会津本郷焼には土物(陶器)と石物(磁器)があると説明しています[4]。伝統的工芸品の原材料では、磁器用の陶石に大久保土・砂利土など、陶器用の陶土に的場粘土・大久保土などが挙げられています[1]

成形は、陶器がろくろ・手ひねり・たたら成形、磁器は袋流し成形や二重流し成形も認められています[1]。模様付けには、印花、櫛目、はけ目、イッチン盛り、面とり、布目、化粧掛けなどが挙げられています[1]

陶器の釉薬には、土灰釉、あめ釉、白流し釉、青流し釉、貫入釉、乳白釉などが並びます[1]。磁器の釉薬には、木灰釉、石灰釉、青磁釉、海鼠釉、黄磁釉、金結晶釉などが挙げられています[1]。これは産地で使われる技法の範囲で、一つの器に使われる釉薬は製品ごとに異なります。

産地情報は、磁器には呉須という青色の絵の具を使った染付や、日本や西洋の絵の具を使った多色の色絵があると説明しています[1]。窯元の例では、酔月窯は身知らず柿や起き上がり小法師など会津らしい柄を磁器に絵付けしています[13]。陶雅陶楽は飴釉・灰釉で陶器を作っていると記しています[18]

会津本郷焼の陶器(土物)と磁器(石物)の比較(伝統工芸 青山スクエアの技術・原材料と、組合・窯元の説明による。2026年9月15日確認)
項目陶器(土物)磁器(石物)例外・製品による違い根拠
原料的場粘土、大久保土など。組合は瓦焼の流れをくむ土物と説明大久保土、砂利土などの陶石。組合は大久保陶石を原料と説明同等の材質のものも認められており、製品ごとの原料は未確認[1][4]
成形ろくろ、手ひねり、たたらろくろなどに加え、袋流し成形・二重流し成形窯元ごとに使う方法は異なる[1]
主な釉薬土灰釉、あめ釉、白流し釉、青流し釉、貫入釉、乳白釉など木灰釉、石灰釉、青磁釉、海鼠釉、黄磁釉、金結晶釉など陶器・磁器とも鉄釉・銅釉も挙げられている[1]
絵付け下絵付けは呉須・鉄錆・銅の絵具呉須の染付、多色の色絵上絵付けの有無は製品ごとに確認[1]
窯元の例陶雅陶楽(飴釉・灰釉)、樹ノ音工房(しのぎと絵付け)酔月窯(呉須で会津の風物を描く)鳳山窯は染付・色絵の磁器と陶器の両方を紹介[13][15][16][18]

会津本郷焼の歴史は、いつ始まりどう続いてきた?

1593年に蒲生氏郷が瓦工を招いて瓦を焼かせたのが始まりとされ、17世紀半ばに陶器、1800年に磁器の焼成が始まりました[2][3]。戊辰戦争で大きな打撃を受けています[2]

組合によると、会津若松城主の蒲生氏郷が城の改修のため、播磨国から瓦工を招いて瓦を焼かせたのが始まりといわれます[3]。組合の年表はこれを1593年としています[2]。その後、会津藩主の保科正之が招いた美濃国瀬戸出身の陶工、水野源左衛門が本郷村で陶器の製造を始めました[3]

水野源左衛門が陶器焼成を始めた年は、組合の年表では1647年、同じサイトの歴史紹介では1645年と書かれていて一致しません[2][3]。1679年には水野五郎助が水簸法による陶土づくりを始め、瓶や片口、摺鉢などの民用の粗陶器が作られたと年表にあります[2]

磁器については、藩が本郷村で見つかった大久保陶石で磁器を作ろうとし、佐藤伊兵衛を有田に送ったと組合は説明しています[3]。伊兵衛は1800年に磁器焼成に成功したと年表にあります[2]。組合は、伊兵衛の帰国後に藩が備前式登窯を築いたとも記しています[3]

1868年の戊辰戦争で産地は壊滅的な打撃を受け、1916年の本郷大火では町の半分近くが焼けたと年表にあります[2]。酔月窯と陶雅陶楽は、どちらも戊辰戦争後に初代が窯を開いたと紹介しています[13][18]

1890年の第三回内国勧業博覧会を機に「会津本郷焼」の名を公然と使い始めたと年表にあります[2]。1958年には、宗像窯の「にしん鉢」がブリュッセル万国博覧会でグランプリを受けました[2][9]

会津本郷焼の年表(会津本郷焼事業協同組合の年表・歴史紹介と伝統工芸 青山スクエアによる)
出来事根拠
1593年蒲生氏郷が播磨国から瓦工を招き、屋根瓦を焼かせる[2][3]
1645年または1647年水野源左衛門が本郷村で陶器の製造を始める(資料で年が異なる)[2][3]
1800年佐藤伊兵衛が磁器焼成に成功[2][3]
1868年戊辰戦争で壊滅的な打撃を受ける[2]
1958年宗像窯の「にしん鉢」がブリュッセル万国博覧会でグランプリ[2][9]
1993年7月2日国の伝統的工芸品に指定される[1][2]
2020年「会津本郷焼」が地域団体商標に登録される(組合の年表による)[2]

会津本郷焼の窯元・施設はどこで確認できる?

組合の組合員名簿と窯元紹介、窯元の公式サイトで存在を確認した事業者と、会津本郷陶磁器会館を載せました。訪問条件は公式に書かれた範囲だけを記しています[6][7]

表には、営業時間などを公式サイトで確認できた窯元と施設を先に、名簿で存在だけを確認した窯元を後にまとめました[6]。住所は町までにとどめています。窯元の公式サイトには掲載時期が古いと思われる案内もあるため、訪ねる前に電話か公式サイトで最新の状況を確かめてください。

宗像窯の公式サイトは、展示場を9時から16時30分まで、12月から3月は16時までと案内しています[10]。定休日は水曜日で、12月から3月の火曜日は予約制です[10]。同サイトは、現在は陶芸体験を行っていないとも書いています[10]

流紋焼は明治33年に碍子を作る会社として創業し、戦後に美術陶芸器部を設けて、流し釉の器を作ってきたと紹介されています[11]。会津美里町の企業紹介は、工場見学と陶芸体験ができると書いています[12]

会津本郷焼の窯元・施設(2026年9月15日に組合のサイト・窯元の公式サイト・会津美里町の企業紹介で確認)
名称・場所見られる・買えるもの訪問のしかた公式
会津本郷陶磁器会館 会津美里町展示・販売施設(組合と同じ所在地) 会津本郷焼の展示・販売[7]訪問可:9時〜17時。水曜休館、年末年始(12月29日〜1月5日)休館[7]
宗像窯 会津美里町窯元 にしん鉢、抹茶碗など[9]展示場 9時〜16時30分(12〜3月は16時まで)、水曜定休。12〜3月の火曜は予約制。陶芸体験は現在なし[10]
流紋焼 会津美里町製造(美術陶芸器・碍子) 流し釉の美術陶芸器、配電用碍子[11][12]町の企業紹介に工場見学・陶芸体験の記載。現在の営業時間は未確認[12]
酔月窯 会津美里町窯元(磁器) 呉須で会津の風物を描いた磁器[13][14]受付9時〜16時30分、毎週火曜定休(祝日は営業)。店内販売あり、陶芸体験は予約受付あり[14]
鳳山窯 会津美里町窯元(磁器・陶器) 染付・色絵の磁器、陶器、粉引の抹茶碗[15]未確認
樹ノ音工房 会津美里町窯元(陶器) しのぎと絵付けの器[16]公式サイトに9時〜17時・火曜定休、陶芸体験は9時〜16時と記載。カフェは休業中。掲載時期は未確認[17]
陶雅陶楽 会津美里町窯元(陶器) 飴釉・灰釉の器[18]未確認(ネットショップあり[18]
かやの窯、閑山窯、草春窯、陶房彩里、富三窯、宗像眞弓 会津美里町窯元(組合員名簿に掲載) 製品は未確認[6]未確認

会津本郷焼の産地を訪ねる機会は、いつある?

早朝から窯元中心の露店が並ぶ会津本郷せと市があり、2026年は6月14日に瀬戸町通りで開かれました[21]。毎年9月16日には陶祖廟が開く陶祖祭があります[8]

会津本郷せと市は、2026年は6月14日(日)の4時から12時まで、瀬戸町通りで開かれました[21]。福島県の観光サイトの産地紹介には、せと市を8月初めの行事とする記載が残っていますが[20]、2026年は6月開催でした[21]。時期を移した経緯と2027年の発表状況は、せと市のページにまとめています。

組合によると、陶祖祭は会津本郷焼の祖を供養する祭りで、毎年9月16日に行われます[8]。常勝寺にある陶祖廟が年に一度この日だけ開けられ、献茶・読経・焼香が行われます[8]。組合の年表では、1880年に陶祖の水野源左衛門と磁祖の佐藤伊兵衛の廟を建てたとあります[2]

陶器市以外の時期に器を見て買える施設として、会津本郷陶磁器会館があります[7]。福島県の観光サイトは、工房によって手びねりやろくろの体験があると紹介しています[20]。体験の有無と予約条件は、表に載せた窯元ごとに異なります[10][14][17]

会津本郷焼の器の手入れや電子レンジの可否は、どう判断する?

陶器と磁器、釉薬、上絵付けの有無で条件が変わるため、産地名ではなく製品の表示と作り手の案内で判断します。産地全体の可否を示した公式資料は確認できませんでした。

会津本郷焼には土物(陶器)と石物(磁器)があり[4]、陶器の釉薬には貫入釉も挙げられています[1]。磁器には多色の色絵もあります[1]。素材も加飾も幅があるため、「会津本郷焼だから電子レンジで使える」「使えない」とは言えません。

今回確認した組合のサイトと、宗像窯・酔月窯・樹ノ音工房・陶雅陶楽の公式サイトには、電子レンジや食洗機の可否、使い始めの処理を示した記載が見つかりませんでした[10][14][17][18]。手元の器は、付属のしおりや販売店・窯元の案内を先に確認してください。陶器の使い始めと電子レンジの判断方法は、手入れのページで製品の表示を確かめる手順とあわせて説明しています。

よくある質問

会津本郷焼は陶器ですか、磁器ですか?
両方です。陶器と磁器の両方を作る産地で、一つの製造元で両方を作るところもあります[1]。組合は陶器を土物、磁器を石物と呼んでいます[4]
会津本郷焼はいつから作られていますか?
組合は、1593年に蒲生氏郷が瓦工を招いて瓦を焼かせたのが始まりといわれると説明しています[2][3]。磁器は1800年に佐藤伊兵衛が焼成に成功したとされます[2]
会津本郷焼は国の伝統的工芸品ですか?
1993年7月2日に経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されています[1]。組合の年表では、2020年に地域団体商標にも登録されています[2]
にしん鉢とは何ですか?
宗像窯の「にしん鉢」は、1958年のブリュッセル万国博覧会でグランプリを受けたと組合が紹介しています[2][9]。形や用途の詳しい説明は、今回開いた公式ページでは確認できていません。

出典

  1. 1
    会津本郷焼伝統工芸 青山スクエア(伝統的工芸品産業振興協会)・2026年9月15日確認
  2. 2
    歴史・年表会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  3. 3
    歴史と伝統会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  4. 4
    陶器と磁器会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  5. 5
    概要会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  6. 6
    組合員一覧会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  7. 7
    会津本郷陶磁器会館会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  8. 8
    陶祖祭会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  9. 9
    宗像窯会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  10. 10
    宗像窯宗像窯・2026年9月15日確認
  11. 11
    流紋焼会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  12. 12
    株式会社 流紋焼(企業紹介)会津美里町・2026年9月15日確認
  13. 13
    酔月窯会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  14. 14
    酔月窯酔月窯・2026年9月15日確認
  15. 15
    鳳山窯会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  16. 16
    樹ノ音工房会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  17. 17
    樹ノ音工房樹ノ音工房・2026年9月15日確認
  18. 18
    会津本郷焼窯元 陶雅陶楽陶雅陶楽・2026年9月15日確認
  19. 19
    会津本郷焼|陶磁器のある暮らし会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認
  20. 20
    会津本郷焼福島県観光物産交流協会(福島の旅)・2026年9月15日確認
  21. 21
    令和8年度 会津本郷せと市開催のお知らせ会津本郷焼事業協同組合・2026年9月15日確認

確認できていないこと

  • 水野源左衛門が陶器製造を始めた年が、組合の年表(1647年)と歴史紹介(1645年)で異なる。
  • 伝統的工芸品の指定日(1993年7月2日)は伝統工芸 青山スクエアで確認。東北経済産業局のページは403で開けなかった。地域団体商標は特許庁のページを取得できず、組合の年表のみ。
  • 電子レンジ・食洗機・使い始めの処理について、窯元公式の案内を確認できなかった。
  • 鳳山窯・陶雅陶楽・名簿掲載の6窯元の見学・販売の可否と営業時間。流紋焼の現在の営業時間(公式サイトの営業時間の案内は2021年4月22日付)。
  • 樹ノ音工房の所在地番が、組合員名簿と窯元紹介ページで異なる(本文は町までのため影響なし)。公式サイトの営業案内の掲載時期も未確認。

記載は編集部が出典を確認して作成しています。誤りに気づいた場合は訂正のお知らせの窓口からお知らせください。